「外の天気のように私の心にも雨を降らせたい時に見る「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」

2020. 7. 29. 02:51Review

 

 

実は私ってこういう種類の映画があまり好きではない。

 

「時間をかける少女」、「君の名は。」に続いて、「時間」を言い訳にし、叶えない(観る人だけ胸が苦しくなるような)話で自分の大切な数日を主人公達の代わりに悲しみながら送りたくないため。

 

あらすじ紹介などは、まぁ、4年も前のものだし他のブログさん達がいっぱい書いてくれたからそれをご参考に。

 

映画の題名も、ジャンルも「恋愛」なのに、何故か背景音楽はずっと「恋愛」に全然相応しくなかった。

幕が降りてからやっと薄暗い音楽の理由がわかってきた。まるで「死」を目前にしている恋話に出てきそうな音楽が映画の中で流れていた。

 

昨日のことを話せず、段々記憶がすれ違う恋人なんて存在理由があるのだろうか。

思い出を共感してもらえないなんて、おそらく死よりも強力なのでは。

 

コインランドリーで「現実を知って苦しむ高寿のナレーション」を聞きながら、私も通り去った「縁」と、まだたどり着いていない「絆」についてもう一度深く考えてみた。

 

私はいつも誰かと意図しようがしまいと、縁を始めたら、その人と過去を共有できなかったことを非常に残念に思っていた。私は知らない彼の一つ一つが誰かの思い出には色あせた姿で残っているから。

 

そして、意図しようとしまいと、縁を切らなければならない状況に直面するたびに、今後その人の未来を共にすることができないことに悲しんでいた。

私はこれから知ることのできない彼の小さな瞬間を私の記憶の中にしまっておけないから。

 

遠距離恋愛をしてきた過去の私。

二十六歳の私でもすれ違った縁でも手放すことってこんなに難しいのに、映画の中の二十歳の二人はどれだけ大変だったんだろうか

 

顔を見ていると少しでも忘れることができるが、風が気持ち良かったり、一緒に食べたものが美味しかったり、風景が綺麗だったりしたらまた思い浮かぶ悲しい現実。

 

楽しかった今日を終えて、離れる日が近くと心の片隅(かたすみ)が重くなる。聞かせてあげたい私の日常を彼に完全に共感してもらえないその恨めしい状況が…

 

しばらく前から一人で準備してきたため、離れる当日になると意外と平気。しかし、自分の目で君を見送った後、数日間、ベットから離れられなかったあの時の私が、映画を見ている間、ずっと思い浮かんだ。

 

あ、また胸が苦しくなってくる。

 

まぁ、とにかく、雨の日にたこ焼きの代わりに楽しめる映画。

辛い思い出のある人にはポップコーンの代わりに硬い心を用意して頂きたい。